住宅用太陽光売電の11年目以降(卒FIT)とは? |
はじめに、太陽光売電の11年目以降(卒FIT)について解説していきます。
■固定価格買取制度(FIT)の売電期間が10年間
新規で住宅用太陽光売電を導入する場合、10年間は同じ価格で売電ができる「固定価格買取制度(FIT)」を利用した売電を行うことができます。この「固定価格買取制度(FIT)」による売電価格は、約10年間で太陽光発電の導入費用を回収できるように設計されています。
住宅用太陽光売電の11年目以降(卒FIT)とは、この「固定価格買取制度(FIT)」による10年間の売電期間が終わったあとの、太陽光発電の活用方法のことを指します。
■かつて「2019年問題」としても注目された
この住宅用太陽光売電の11年目以降(卒FIT)は、かつて「2019年問題」としても注目されました。「2019年問題」とは、固定価格買取制度の前身となる「余剰電力買取制度」がはじまった2009年に売電を開始した人が、「2019年」にはじめて卒FITをむかえることで注目を集めた問題です。
問題といっても、この頃はまだ「卒FIT」後の選択肢がハッキリ整備されていなかったため、“問題”として取り上げられた側面があります。2022年現在では、太陽光発電を設置してから11年目以降(卒FIT)の選択肢はしっかり提示されています。
設置後11年目(卒FIT)を迎えた住宅用太陽光発電の選択肢 |
設置後11年目(卒FIT)を迎えた住宅用太陽光発電の選択肢としては、以下の3つが存在しています。
①売電契約を結び直して売電を続ける(売電価格は大きく下がる)
はじめに、「売電契約を結び直して売電を続ける」という選択肢があります。
固定価格買取制度(FIT)は10年間で終了しますが、住宅用太陽光発電を設置して11年目以降は、大手電力会社や新電力会社と売電契約を結び直すことで余剰電力の売電を続けることが可能です。
ただし、売電価格は大幅に下がり、2022年現在では1kWhあたり「8~11円」程度が相場となっています。これは、固定価格買取制度(FIT)がはじまった初期の頃に住宅用太陽光発電を設置した人ほど、売電価格の落差が激しくなります。
● 卒FIT後の売電価格の落差(2012年以降)
2012年設置:42円/kWh⇒34~31円/kWhの下落
2013年設置:38円/kWh⇒30~27円/kWhの下落
2014年設置:37円/kWh⇒29~26円/kWhの下落
2015年設置:33円/kWh⇒25~22円/kWhの下落
2016年設置:31円/kWh⇒23~20円/kWhの下落
2017年設置:28円/kWh⇒20~17円/kWhの下落
2018年設置:26円/kWh⇒18~15円/kWhの下落
2019年設置:24円/kWh⇒16~13円/kWhの下落
2020年設置:21円/kWh⇒13~10円/kWhの下落
2021年設置:19円/kWh⇒11~8円/kWhの下落
※卒FIT後の売電価格は「8~11円/kWh」を想定して算出しています。
※2015年~2019年のFIT期間中の売電価格は、「出力抑制なし」の価格です。
卒FIT後の新規売電契約は、電力会社によっても売電の条件や単価が異なりますので、売電契約を結ぶ前に複数の電力会社を比較して条件や単価を確認することをおすすめします。
②蓄電池を設置して昼夜問わず自家消費できるようにする
2つ目の選択肢として、家庭用蓄電池を設置して、太陽光発電でつくった電気をすべて家庭内で使用する「全量自家消費」ができるようにする方法があります。
蓄電池を設置して昼夜問わず自家消費できるようにするメリットには、以下があります。
家庭内で使いきれなかった「余剰電力」を蓄電池に溜めることで無駄にしない
太陽光発電が電気をつくれない夜間でも、蓄電池に蓄えた電気を使って節電に貢献
災害時(停電時)の非常用電源になる(昼間は太陽光発電で発電+夜間は蓄電池の 電気を使う)
卒FIT後の売電単価(8~11円/kWh)よりも、1kWhあたりの電気代のほうが高 額なので、経済的なメリットも大きい(ただし、電力プランによる)
ただし、以下のようなデメリットもあります。
初期費用が高額(本体+工事費込みで約80~200万円くらいが相場)
蓄電池の寿命が10年程度なので、太陽光発電より前に壊れる可能性がある
③何もしない(太陽光発電が発電できる時間帯だけ自家消費)
設置後11年目(卒FIT)を迎えた住宅用太陽光発電の3つ目の選択肢は、「何もしない」です。正確には、「太陽光発電が発電できる時間帯だけ、つくった電気を家庭内で使用する」という運用方法です。
「新しく電力契約を結ぶのが面倒くさい」
「蓄電池の購入費用を支払いたくない」
上記のような方は、この「何もしない(太陽光発電が発電できる時間帯だけ自家消費)」という方法が向いています。
ただし、この方法を選択した場合、余剰電力(家庭内で使用しきれなかった電気)が無駄になってしまいます。余剰電力を無駄にしてしまうのはもったいないないので、蓄電池で初期費用を払いたくない場合でも、売電契約だけは結んでおくと良いでしょう。
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